動ける体を。
仕事や家事で、運動はつい後回し。
自宅でできる筋力・体幹トレーニングを、短い時間から始めてみませんか。
院内配布資料からお越しの方へ:医療者から伝えられた注意点や運動制限を優先してください。回数・時間は、運動習慣が少ない方が始めるための一例です。
体幹は、姿勢と動きを支える土台。
デスクワークで座る、立って家事をする、荷物を持ち上げる。こうした毎日の動作には、脚の筋力だけでなく、体の軸を支える体幹の働きが欠かせません。体幹はお腹だけでなく、背中や骨盤周りの筋肉も含み、それぞれが協調して背骨や骨盤を支えています。
体幹トレーニングは、姿勢を保ち、日常の動きを安定させるための大切な運動です。目指すのは、背筋を固めて「よい姿勢」を続けることではありません。座る・立つ・かがむといった場面に合わせて、体を支えながらスムーズに動ける力を育てていきましょう。
腰痛のケアにも、運動という選択肢を。
特定の病気やけがによるものではない、3か月以上続く慢性腰痛では、運動が痛みの改善に役立つことが研究で示され、WHOのガイドラインでも運動プログラムがケアの一つとして勧められています。体幹の筋肉を協調させて動かすトレーニングも、その選択肢の一つです。
ただし、体幹トレーニングが他の運動より常に優れているわけではなく、腰痛の原因も一つではありません。腰痛がある方は状態に合う方法を医療者と相談し、無理なく続けられる運動を選びましょう。このページでは、脚・お尻・体幹を一緒に鍛える4種目をご紹介します。
回数をこなすことより、ゆっくり丁寧に動くことを大切にします。まず1周から。毎日追い込む必要はありません。
始める前に、3つの準備。
1|体を温める
その場歩きや肩回しなどを1〜2分。滑りにくい床で、床の運動にはマットを使いましょう。
2|息を止めない
力を入れるときも呼吸を続けます。立ち上がる、持ち上げるときに、ゆっくり息を吐くのが目安です。
3|休みを入れる
種目の間は20〜30秒、必要ならもっと休みます。同じ筋肉をしっかり鍛える日は、間に1日休みを入れましょう。
まずは、この4種目から。
画像は姿勢の目安です。痛みのない範囲で行い、体力に合わせて回数を減らして構いません。
スクワット|脚とお尻を鍛える
最初の目安:8〜10回 × 1セット
足を腰幅〜肩幅に開き、つま先を少し外へ向けます。椅子に腰かけるつもりでお尻を後ろへ引き、膝をゆっくり曲げ、足裏で床を押して立ち上がりましょう。
膝とつま先は同じ方向へ。かかとを浮かせず、背中を丸めすぎないようにします。浅くしゃがむだけでも大丈夫。必要なら動かない椅子や机に手を添えてください。
慣れてきたら:下ろす動きを3秒ほどかけて丁寧に。10〜12回まで増やすか、2セットへ。
膝つきプランク|お腹で体を支える
最初の目安:10〜20秒 × 2回
うつ伏せから、肘を肩の真下に置き、前腕と膝で体を支えます。お腹に軽く力を入れ、肩・腰・膝がほぼ一直線になる姿勢で、自然な呼吸を続けましょう。
腰を反らせたり、お尻を高く上げたりしないように。視線は床へ向け、首を長く保ちます。姿勢が崩れる前に休みましょう。膝にはタオルを敷けます。
慣れてきたら:膝を床から離す通常のプランクを10秒から。長さよりも姿勢を優先します。
ヒップリフト|お尻と体幹を鍛える
最初の目安:8〜10回 × 1セット
仰向けで膝を曲げ、足を腰幅に置きます。息を吐きながら両足で床を押し、お尻を持ち上げます。肩から膝までがほぼ一直線になったら2〜3秒保ち、ゆっくり下ろしましょう。
腰を高く反らす必要はありません。首や頭で床を押さず、肩と足で支えます。腰が痛む場合は中止してください。
慣れてきたら:上で保つ時間を5秒程度にするか、10〜12回、2セットへ。
バードドッグ|ぶれない体の軸をつくる
最初の目安:左右各5回、1回3秒ほど
手を肩の下、膝を股関節の下に置いて四つ這いに。右腕と左脚、または左腕と右脚という対角の組み合わせで、腕を前へ、脚を後ろへゆっくり伸ばし、体が傾かない位置で保ちます。元へ戻し、左右を交互に行いましょう。
腕や脚は高く上げず、背中と骨盤を水平に。首は反らさず床を見ます。難しければ腕だけ、または脚だけを伸ばす練習から始めてください。
慣れてきたら:保つ時間を5秒に。手足を遠くへ伸ばす意識で行い、反動は使いません。
忙しい日に、約5〜8分のメニュー。
準備|その場歩きなどを1〜2分
呼吸を整え、軽く体を温めます。
立って|スクワット8〜10回
足元から始めて、ゆっくり床の運動へ。
床で|膝つきプランク10〜20秒を2回 → ヒップリフト8〜10回 → バードドッグ左右各5回
種目の間やプランクの合間は20〜30秒休みます。
終わり|楽な姿勢でひと息
慌てずに起き上がります。疲れが強ければ、次回は量を減らしましょう。
所要時間は目安です。休憩を長く取っても構いません。時間がない日は1〜2種目だけでも。月・木など、生活の中に無理なく置ける日を選びましょう。
慣れてきたら、少しずつ手応えを。
まずはフォームと呼吸を保てることを確認してから、回数・保持時間・セット数のどれか一つを増やします。全種目を一度に難しくしなくて大丈夫です。
筋肉の疲れはあっても、関節の痛みや腰の痛みを我慢する必要はありません。強い筋肉痛がある日は休むか、軽い活動に変えましょう。
これは脚・お尻・体幹を中心にした導入メニューです。全身をバランスよく鍛えたい方は、胸・背中・腕の種目も取り入れ、トレーナーなどにフォームを確認してもらうとよいでしょう。ウォーキングなどの有酸素運動も組み合わせてみてください。
安心して続けるために
鋭い痛み、しびれ、めまい、いつもと違う息苦しさが出たら中止してください。胸痛や強い呼吸困難などの症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談し、緊急時は119番へ連絡してください。
心臓の病気、血圧の管理が不十分な状態、腰や関節の病気、手術後、妊娠中などで運動内容に迷う場合や、運動制限がある場合は、開始前に医療者へ相談しましょう。息を止めて強くいきむ運動は避けてください。
よくある質問
毎日した方がよいですか?
筋トレは週2〜3日を目安に、休息日を設けて続けましょう。休みの日には、体調に合わせて歩く、軽く体を動かすなどの過ごし方ができます。
筋肉痛がないと効果はありませんか?
筋肉痛の有無だけで効果は判断できません。フォームを保ってできる回数が増えた、動作が安定してきた、などの変化を目安にしましょう。
片足立ちも取り入れられますか?
バランスを養う練習として取り入れられます。動かない机など、すぐにつかまれる場所のそばで、目を開けて左右各10〜20秒から。ふらつく場合は手を添え、転倒しそうな難しさには進まないでください。
参考資料
- 厚生労働省:筋力トレーニングについて
- Mayo Clinic:体幹を鍛える運動(英語)
- Mayo Clinic:体幹トレーニングの役割(英語)
- WHO:慢性一次性腰痛の非手術的管理ガイドライン(2023年・英語)
- Cochrane:慢性腰痛に対する運動療法(2021年・英語)
- Cochrane:慢性非特異的腰痛に対する運動制御トレーニング(2016年・英語)
本ページの回数・時間は取り組みやすさを考えた実践例であり、個別の運動処方ではありません。
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当院の院長も、この本を参考に体幹トレーニングを実践しています。基本を身につけたい初級者から、さらに強度を上げたい中・上級者、スポーツに取り組むアスリートまで、段階に合わせて取り組める一冊です。
ストレッチが充実している点も、おすすめしたい理由です。体幹周りをほぐす内容から始まり、初級・中級・上級・プロフェッショナル編へと進む構成。鍛えるだけでなく、柔軟性も含めて体づくりを考えたい方に向いています。
最初から難しい種目を目指さず、今の体力に合う段階を選びましょう。フォームに不安がある場合は、専門家に確認してもらうと安心です。
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