安心して歩く。
最近、立つ・歩くときのバランスに不安を感じる方へ。
立つ・歩くときの安定感を、支えを使った無理のない練習から育てていきましょう。
院内配布資料の「バランストレーニング」にチェックがついていた方へ:医療者から伝えられた注意点や運動制限を優先してください。回数・時間は取り組みやすさを考えた一例です。
立つ・歩く動きに、不安を感じ始めたら。
「方向を変えるときに少し不安」「以前より足元に気をつかうようになった」。このページは、普段の生活で立ったり歩いたりできるものの、バランスに不安を感じ始めた方に向けた運動の案内です。固定された台や手すりを使いながら、体を支える練習と、ゆっくり重心を移す練習を行います。
医療者から勧められた方は、ご自身の体の状態に合わせて取り組みましょう。立っているだけでも不安定な方や、転倒を繰り返す方は、自己判断で始めず医療者に相談してください。
体が大きく傾く前に足をつき、姿勢を整えて再開しましょう。ふらつきを我慢して続ける必要はありません。
始める前に、場所と姿勢を整える。
1|支えを確保
固定されたカウンターや手すりのそばで。手をすぐ伸ばせる距離に立ち、必要なら最初から手を添えます。
2|足元を確認
平らで滑りにくい床を選び、足に合った滑りにくい靴を。敷物のめくれや周囲の物を片づけます。
3|目を開けて
視線を前に向け、自然に呼吸。その場歩きで30〜60秒ほど体を慣らしてから始めましょう。
キャスター付きの椅子や動く家具は支えに使いません。スマートフォンを見ながら、熱い物や刃物を扱いながらの練習は避けてください。
まずは、この3種目から。
左右どちらも練習します。できる方に合わせず、難しい方でも安全に保てる時間から。画像は姿勢の目安です。
片脚立ち|片脚で体を支える
目安:左右各10〜20秒 × 2回
足を腰幅に開き、台に手を添えます。片脚へ体重を移し、反対の足を床から浮かせましょう。高く上げる必要はありません。背すじを自然に伸ばし、骨盤を大きく傾けないように保ちます。
支える膝は伸ばし切らず、軽くゆるめます。難しければ5秒から、または浮かせる足のつま先を床につけたままで。
手すりは体の横に。前方に歩く空間を確保します。画像は足の間を空けた導入姿勢で、慣れたら前のかかとと後ろのつま先を近づけます。
かかと・つま先歩き|細いラインを歩く
目安:5〜10歩 × 2回
カウンターや手すりに沿って立ちます。片足のかかとを反対の足のつま先のすぐ前に置き、同じように一歩ずつ進みましょう。綱渡りのように、足をほぼ一直線に並べます。
視線は少し前へ。難しければ足の間を少し空けて構いません。向きを変えるときはいったん足を開き、普通に歩いて戻ります。
サイドステップ|横の動きをなめらかに
目安:右へ5歩、左へ5歩 × 2回
台や手すりにすぐ手を伸ばせる位置に立ち、膝を軽くゆるめます。右足を小さく横へ出し、左足を引き寄せます。脚を交差させず、反対側も同じように行いましょう。
つま先をおおむね正面へ向け、上半身を大きく揺らさないように。広い歩幅や速さより、ゆっくり体重を移す感覚を大切にします。
無理なく続ける、約3〜5分。
準備|その場歩き30〜60秒
支えと足元を確認します。
片脚立ち → かかと・つま先歩き → サイドステップ
上の目安を1周。種目の間は両足で立ち、10〜20秒ほど休みます。
終わり|両足で立ってひと息
疲れて姿勢が崩れる前に終えましょう。
週2〜3回を始める目安に。時間がない日は片脚立ちだけでも構いません。回数をこなすより、短い練習を続けることを大切にします。
慣れてきたら、支えながら動かす。
片脚立ち+足先リーチ
目安:左右各3〜5回
片脚立ちが安定してできる方は、台に手を添えたまま、浮かせた足を少し前へ伸ばして戻します。骨盤を正面に保てる小さな範囲で。足先を床に軽く触れても構いません。
安定してきたら横方向にも。遠くへ伸ばすことより、支える脚と体の軸がぶれないことを優先しましょう。
時間・歩数・手の支え方のうち、変えるのは一つだけ。自宅で一人の練習では、目を閉じたり、クッションや不安定な台に乗ったりする必要はありません。
安心して続けるために
めまい、いつもと違うふらつき、痛み、しびれが出たら中止し、安全な場所で休んでください。転倒を繰り返す方や、立っているだけでも不安定な方は、まず医療者に相談しましょう。
このページは一般的な運動の紹介です。めまいの治療や、病気・けがに応じたリハビリの代わりにはなりません。突然の強いふらつきに、片側の手足の力が入らない、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、119番へ連絡してください。
よくある質問
左右で差があっても大丈夫ですか?
差があっても無理に時間をそろえる必要はありません。支えを使い、難しい側に合わせて練習します。急に差が大きくなった場合や、痛み・しびれを伴う場合は医療者へ相談してください。
片脚立ちの秒数で、体の衰えを判定できますか?
このページの秒数は練習の目安で、診断や「体年齢」の判定ではありません。睡眠、疲れ、靴、床などでも変わります。他人との比較より、自分が安全に動ける範囲を確認しましょう。
筋力トレーニングとの違いは?
筋力トレーニングは筋肉が力を出す能力を、バランストレーニングは姿勢や重心を調整する力を主に練習します。働きは重なり合うので、両方を組み合わせるのがおすすめです。
ほかの運動・セルフケアも。
体を支える力は筋力・体幹トレーニングで、持久力は有酸素運動で。ゆっくり整えたい日はヨガや瞑想・マインドフルネスも取り入れてみてください。
参考資料
回数・時間や組み合わせは、運動習慣が少ない方に向けた実践例であり、個別の運動処方ではありません。
